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小児のアトピー性皮膚炎

小児のアトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを長く繰り返す病気です。
遺伝的なアレルギー体質と環境の2つが原因といわれています。
原因は、完全には解明されておりませんがアレルギーだけで起こっているわけではありません。
皮膚の生理学的異常(皮膚の乾燥とバリアー機能異常)があり、そこへ様々な刺激やアレルギー反応が加わって生じると考えられています。

小児で発生したアトピー性皮膚炎は、10歳~12歳ぐらいまでに良くなるお子さんが多いです。
小児アトピー性皮膚炎は治らないものというように思わないでいただきたいと思います。
小児アトピー性皮膚炎は生後2~3か月ごろから始まり、徐々に肘・膝の内側、体などに治りにくいかゆい湿疹ができて、慢性に続きます。全身の皮膚が乾燥する傾向があります。
アトピー性皮膚炎の方は、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎・結膜炎、気管支喘息などの「アレルギー性疾患」をいくつも持っている方がおられます。

最近の研究で幼少時のアトピー性皮膚炎と食物アレルギーには密接な関係があり、お肌の手入れがうまくできていないお子様に優位に多いとされています。
これはアレルギーマーチ(アトピーが次々と他のアレルギー症状を引き起こしていく現象)と呼ばれています。
アトピーが原因で発症した食物アレルギーはお肌の手入れをしていれば数年で治ると言われています。頑張って治療しましょう。

皮膚の乾燥について

また、アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚のバリアー機能の異常がよく見られます。バリアー機能の異常とは、皮膚にある「セラミド」という物質が生まれつき少なく、皮膚に水分を保ちにくく「乾燥肌」となるのと同時に、外界からの異物が簡単に皮膚の中に侵入してしまう状態のことです。

具体的には、アレルゲン(ダニ、埃、カビ、花粉、食事など)、細菌・ウィルス、化学物質、大気汚染物質、紫外線、汗、気温・湿度の変化など、あらゆる外界からの刺激が、皮膚の内部へ到達しやすくなっているのです。
また、衣服の摩擦や掻くことで、皮膚が簡単に傷ついてしまいます。
つまり、アトピー性皮膚炎の患者さんの肌は、乾燥肌で外界からの刺激を受けやすい状態になっているのです。
そのため保湿剤の外用が大切です。

小児のアトピー性皮膚炎治療は?

アトピー性皮膚炎の治療方針は、一人ひとりの状態をしっかり把握することから始めます。
アトピー性皮膚炎を悪くさせている様々な要因を見つけ出し治療していきます。
痒みなどの苦痛をコントロールし、健やかな日常を送っていただくことが第1の目標になります。
アトピー性皮膚炎があるから何かを制限しなければいけないのではなく、薬の助けを借りつつも他の人と全く変わらない快適な生活を送っていただければ幸いです。

① 保湿剤

アトピー性皮膚炎の予防には保湿剤の外用が重要です。
保湿剤(へパリン類似物質やワセリン系統)を毎日塗り続けることでアトピー性皮膚炎をある程度予防することが可能です。

② 非ステロイド系消炎剤

炎症を抑える力は極めて弱く、ステロイドに代われるものではありません。
ステロイドの副作用 が出やすい首や顔に使用されることが多い薬です。
ただし、接触皮膚炎(かぶれ)を生じることも しばしばあり注意が必要です。

③ ステロイド外用剤

ステロイドはもともと体内にある副腎皮質ホルモンと同様の働きをする薬です。
炎症や免疫反応を抑えることが出来る効果があります。
その効果を元に 5 段階に分類されていて、年齢や皮膚炎の重症度に応じて薬の強さを調節して使用します。
また、効果の高さと副作用の起こりやすさは一般的に比例しますので、必要以上に強いステロイド外用薬を使わず、「皮疹の重症度」に見合った薬剤を選ぶことが大切です。

④ 免疫制御薬(プロトピック、コレクチム、モイゼルト軟膏)

アトピー性皮膚炎の新たな治療薬として登場した薬剤です。

プロトピック軟膏

プロトピック軟膏は塗り始めに刺激感を感じる方がみえますが、1週間ほどで感じられなくなります。
20年以上の歴史があり、十分な臨床効果の裏づけがあり安定したお薬です。

コレクチム軟膏

コレクチム軟膏は2023年2月から生後6か月のお子様にも使用していただけるようになりました。
プロトピック、モイゼルトは2歳からの使用です。

モイゼルト軟膏

モイゼルト軟膏は2022年6月から使用されている新薬です。
副作用がとても少なくて安心して使用していただけるのが特徴です。

⑤ 内服薬

アトピー性皮膚炎はとても痒いのが特徴の病気です。
痒みが強いと引っ掻きによる悪化を起こしたりします。
いらいらしたり、引っ掻いてしまう時には痒みを抑える目的で、抗アレルギー剤を内服していただくと良いかと思います。

日常生活の注意点

入浴

お風呂の温度はぬるめで。
体を洗う時は低刺激の石けんを十分に泡立ててやさしく洗ってあげましょう。
ゴシゴシこするとお肌のバリアーが痛んでしまします。

掃除

最近の研究報告で幼少時のアトピー性皮膚炎と食物アレルギーには密接な関係があり、お肌の手入れがうまくできていないお子様に食物アレルギーが優位に多いとされています。
これはアレルギーマーチ(アトピーが次々と他のアレルギー症状を引き起こしていく現象)と呼ばれています。
原因としてはだあれからほこりの様な小さなアレルゲン(アレルギーの素)が体の中に入り込んで抗体が出来てしまうためと最近分かってきました。
これを「経皮感作(けいひかんさ)」といいます。
例えばじゅうたんにこぼれたピーナツビスケットの粉によって、まだ食べてもいないのにピーナツアレルギーが発症してしまう事例などがそうです。

アトピーが原因で発症した食物アレルギーはお肌の手入れをしていれば数年で治ると言われています。
頑張って治療しましょう。

※ 当院では、特異IgE抗体価の検査(RAST)などのアレルギー検査(血液検査)を行って治療の参考としています。
アレルギーがアトピー性皮膚炎の全ての原因ではありませんので治療の参考になるという程度です。
とくにRASTの結果の評価は難しく、症状とは無関係の場合もありますので、RASTの結果だけで安易な食物制限に走ることのないように注意する必要があります。

湿度

50~60%を心がけましょう。
これ以下だと皮膚が乾燥し、これ以上だとダニが繁殖しやすくなります。

爪を切る

引っ掻くとよけいにアトピー性皮膚炎が悪化します。

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