帯状疱疹
帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛とは?
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水ぼうそうのウイルスによって起こる病気です。
水ぼうそうのウイルスは体の神経節にひそんでいて、過労やケガ、大きなストレス、病気などで免疫力が低下したときに帯状疱疹を起こします。
症状は、皮膚にチクチクするような痛みが起こることから始まります。
次に、痛みを感じた場所にブツブツとした赤い発疹ができ、小さな水ぶくれとなって帯状に広がります。
この症状は、特に胸から背中、腹部などによくみられます。他には顔や手、足にも現れます。
多くの場合、強い痛みを伴います。刺すような鋭い痛みから始まり、しだいに衣類と触れるようなわずかな刺激にも、ピリピリと痛みを感じるようになる場合もあります。
ほとんどの場合、皮膚症状の消失と共に痛みも無くなりますが、高齢者では長く痛みが残ることがありますので、なるべく早期に抗ウイルス薬を使用する必要があります。
帯状疱疹は、水ぼうそう(水痘)と同じウイルスですので、水ぼうそう(水痘)にかかったことのない方やワクチン未接種の方にうつしてしまう可能性があり特に小児のかたは注意が必要です。
- 帯状疱疹の初期症状の感じ方はさまざまです。
- 初期症状に気づかず、治療が遅れるケースもあります。
- 症状が軽くても受診しましょう。
帯状疱疹の治療は?
抗ヘルペスウイルス薬の内服を出来るだけ早期に開始することが有効です。
早く治療を始めることで帯状疱疹後神経痛を防ぐことが可能です。
痛み止めに非ステロイド系抗炎症剤の内服を併用します。
外用薬は抗ヘルペスウイルス薬の軟膏、細菌二次感染が考えられれば化膿止めの軟膏、潰瘍化してしまったものに潰瘍治療薬が使用されます。
また帯状疱疹後の神経痛に対しては、いろいろな治療が試みられていますので、ご相談下さい。
帯状疱疹ワクチン
ほとんどの日本人成人はすでに水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を獲得していますが、年齢とともに弱まってしまうため、改めてワクチン接種を行い、免疫を強化することで帯状疱疹を予防します。
予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありませんが、たとえ発症しても症状が軽くすむという報告があります。
かつては帯状疱疹は一生に一度の病気と言われていました。
しかし医学の進歩で寿命が延びた事、社会が成熟して免疫が刺激されることが少なくなった事などから2度3度と複数回経験される方がいらっしゃいます。
帯状疱疹を経験された方でもある程度年数が経過されている方もワクチン接種を考えても良いかもしれません。
帯状疱疹ワクチンには、感染症の原因となる細菌やウイルスの病原性を弱くしたものや、成分の一部を取り出したもの、また病原性を全くなくしたものがあります。
ワクチンを体内に接種すると、そのワクチンの成分(細菌やウイルス)に対しての免疫力を高め、病気の発症や重症化を抑えることができます。
なお、予防や治療に関する詳しいことについては医師とご相談ください。
参考文献:厚生労働省(新型コロナワクチンについて)
ビケン | シングリックス | |
---|---|---|
特徴 | 弱毒化生ワクチン | 不活化ワクチン |
効果 | 発症予防 50% 帯状疱疹後神経痛30%軽減 |
発症予防97% 帯状疱疹後神経痛88%軽減 |
接種回数 | 1回 | 2回(2か月~6か月) |
価格 | 8000円 | 22000円/回、計2回で44000円 |
副反応 | 注射部分の痛み、腫れ、倦怠感など 症状は3日~1週間以内 |
注射部分の痛み、腫れ、倦怠感、頭痛など シングリックスの方がやや副反応強い 症状は3日~1週 |
持続期間 | 5年程度 | 9年以上 |
利点 | 価格が安い 副反応が少ない |
高い効果 |
欠点 | 予防効果はシングリックスに比べると劣る | 2回接種する必要がある 注射部分の腫れが強い |
ビケン(弱毒化生ワクチン)の禁忌
- 水痘ワクチンによる強いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがある人
- 妊娠していることが明らかな人 ※ワクチン接種後2か月間は妊娠を避けてください。
- 明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者、および免疫力抑制をきたす治療を受けている人