その他の大人の皮膚病
脂漏性皮膚炎/脂漏性湿疹
毛穴から皮脂が分泌され、この皮脂が紫外線やカビ(癜風菌:でんぷうきん)によって変化し、その結果引き起こされた炎症を脂漏性皮膚炎/脂漏性湿疹といいます。脂漏性皮膚炎/脂漏性湿疹は頭、顔など皮脂が多い部分と、ワキなどこすれやすい部分にできます。いわゆるフケ症の多くは脂漏性皮膚炎/脂漏性湿疹と考えられています。
アトピー性皮膚炎、かぶれ、尋常性乾癬などと間違われやすいので注意が必要です。
治療は?
基本的に慢性の病気で自然治癒するまでに時間がかかります。原因・誘因にはカビ菌、ストレス、ビタミン不足などがあります。治療は主に塗り薬を使用します。副腎皮質ホルモン外用薬、カビに効く外用薬などです。ビタミン剤の内服を行うこともあります。
日常生活の注意点
日常生活上は石けんやシャンプーで丁寧に優しく洗います。コラージュフルフルという脂漏性皮膚炎/脂漏性湿疹やフケ症に有効なシャンプー、リンスが市販されており、当院でも購入できます。食事は野菜などビタミンや食物繊維の多いものをたっぷりとり、油こいものや甘いものは控えめがよいです。ストレス対策も重要です。
帯状疱疹
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水ぼうそうのウイルスによって起こる病気です。
水ぼうそうのウイルスは体の神経節にひそんでいて、過労やケガ、大きなストレス、病気などで免疫力が低下したときに帯状疱疹を起こします。
症状は、皮膚にチクチクするような痛みが起こることから始まります。
次に、痛みを感じた場所にブツブツとした赤い発疹ができ、小さな水ぶくれとなって帯状に広がります。この症状は、特に胸から背中、腹部などによくみられます。他には顔や手、足にも現れます。
多くの場合、強い痛みを伴います。刺すような鋭い痛みから始まり、しだいに衣類と触れるようなわずかな刺激にも、ピリピリと痛みを感じるようになる場合もあります。
ほとんどの場合、皮膚症状の消失と共に痛みも無くなりますが、高齢者では長く痛みが残ることがありますので、なるべく早期に抗ウイルス薬を使用する必要があります。
帯状疱疹は、水ぼうそう(水痘)と同じウイルスですので、水ぼうそう(水痘)にかかったことのない方やワクチン未接種の方にうつしてしまう可能性があり特に小児のかたは注意が必要です。
治療は?
抗ヘルペスウイルス薬の内服を出来るだけ早期に開始することが有効です。
痛み止めに非ステロイド系抗炎症剤の内服を併用します。
外用薬は抗ヘルペスウイルス薬の軟膏、細菌二次感染が考えられれば化膿止めの軟膏、潰瘍化してしまったものに潰瘍治療薬が使用されます。
また帯状疱疹後の神経痛に対しては、いろいろな治療が試みられていますので、ご相談下さい。
掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に膿をもった水ぶくれ(膿疱)を生じ、次第に皮が剥けてカサカサになる病気で、治りにくい皮膚疾患の一つです。原因はよくわかっていませんが、扁桃炎、歯周病、副鼻腔炎(蓄膿)、中耳炎、金属アレルギー(インプラント、歯の詰め物)、喫煙との関係があると言われています。
掌蹠膿疱症では骨や関節が痛くなることもあります(特に鎖骨のあたり)。掌蹠膿疱症は慢性で長引きますが、数年くらいで治る場合も多いといわれています。
治療は?
掌蹠膿疱症の治療は副腎皮質ホルモンやビタミンD3の外用などです。他にはビオチン内服、歯科金属の除去、扁桃摘出手術、光線治療などがあります。日常生活では禁煙と、うがい(扁桃炎予防)でよくなる方も見られます。
ステロイド外用や活性型ビタミン D3 軟膏の外用や、ビオチン内服の内服、ミノサイクリン等の抗生剤の内服や紫外線療法( PUVA 療法や Narrow-Band UVB 療法)が有効です。また、検査によって扁桃炎や歯科金属の関与が疑われる時は扁桃腺を摘除したり、歯の金属を変更すること等を考えます。
掌蹠膿疱症を罹患している大部分の方が喫煙者であることが指摘されています。
可能ならば禁煙することをお薦めします。
尋常性乾癬
尋常性乾癬は、全身に白いカサカサ(落屑)を伴った境界明瞭な厚みのある赤い発疹(紅斑)を生じる病気です。表皮の角化異常がその病態ですが、免疫異常や遺伝的素因もあると考えられており、その原因はまだ明らかになっていません。これも治りにくい病気の一つです。
治療は?
尋常性乾癬の治療は外用治療が中心になります。副腎皮質ホルモン外用薬やビタミンD外用薬を使用します。
尋常性乾癬は他の人にうつったりしません。
日光で改善しますので、適度な日光浴がおすすめです。皮膚をこすると悪化しますので、掻いたり、入浴時にこすったりするのは避けましょう。食事についてですが肉類・脂肪類は少なめがよいといわれています。